翌朝、 は幾分すっきりした気持ちで学校へと足を運んだ。 「越前、おっはよ!」 クラスに入ると珍しく越前リョーマが自分よりも早く来ていたので はちょっぴり驚いた。 越前とは同じ委員会になったときからつるんでいる。 お互いに言いたい事はズバズバ言う性格。 なんとなしに男女の友情ってヤツが成立しているのだった。 「オハヨ。妙に元気じゃん。」 「それがさ〜、昨日走ってたらテニスボール当たって付き合うとか付き合わないてかで色々あっ たんだよ〜。」 「何ソレ?わけわかんないし。」 「あぁ、いやコッチの話。ゴメンよ。ただの愚痴。」 越前は少し呆れたようにため息をつくと をみた。 「それで?すっきりした?」 「うん。サンキュー♪」 「ふぅ〜ん、よくわかんないけど良かったじゃん。」 がVサインをすると越前はふっと笑った。 越前って結構イイヤツだよなぁ。 は心の内で越前の友情に感謝するのであった。 放課後。 早々と帰宅しようとしていた は校門の近くで意外な人物に声をかけられた。 「よっ! ちゃん昨日ぶり〜。」 「あ!赤也くん?!なんで青学(ココ)にいんの!」 赤也はおどけた調子で答えた。 「まぁ、 ちゃんに逢いにッスかねぇ。ついでに敵状視察ってとこで。」 「わざわざ立海生が?神奈川から?」 「そこは愛ゆえってヤツ?」 「そりゃどうも。で、本当はどうしたんっすか?」 「嫌だなぁ、だから ちゃんに逢いに..。」 「なんとなく違うってわかります。」 赤也は関心した様子で をみた。 「へぇ、さすが ちゃん。いやぁ実は今日練習試合だったんだけどバスで寝過ごして、 気がついたら青学の近くに来てたんだよねぇ。で、手塚さんに手合わせ頼んだらふられちゃっ たんッスよ。」 「なぁんだ。」 「がっかりした?」 「べっつに。」 「でも逢いたかったのはホント。」 赤也が子供みたいに笑う。 は照れくさくなってそっぽ向いた。 「 ちゃんこれから部活?」 「今日は休みだから帰宅するとこです。」 「マジっ?!じゃあ今から遊びに行かない?」 「どこへ?」 「そうッスね。ゲーセンでどう?」 は少し考え込んでから赤也をみた。 「ん〜。みてるだけならいいですよ。」 がそう答えると赤也は嬉しそうに の手を掴み 「おし!決っまり!じゃ善は急げってことで〜。」 駅のほうへと走り出したのであった。 「へぇ。上手いもんですね。」 は感心しながら赤也のゲームさばきを眺めた。 さっきからワンコインで30分以上格闘ゲームをやっている。 しかも何度も乱入されているというのにまったくの負けなし。 「よっしゃ!全クリっ!!」 「赤也くん、すっげぇ〜。」 は思わず感嘆した。 「そうッスか?でも乱入されなかったらもっとタイム縮めれたんだけどなぁ。」 「えぇぇ!!!それでもすごいじゃん!負けなしでしょ!!私なんか一回戦で駄目なんだけどな ぁ。」 「だいじょーぶだって。 ちゃんだって得意なゲームとかあるっしょ?」 「得意なゲーム…ですか?」 は背後にあるゲーム機に目をやった。 「アレなら…好きっすよ。」 「おぉ!いいねぇ!!俺もアレやりたいなぁ。」 そういうと赤也はそのゲーム機に近づいた。 「よし、 ちゃん。おごるから一緒にやらない?」 「え?いいんですか?!」 はすごく嬉しそうにゲーム機に備え付けてあった青い銃を掴んだ。 「久々〜♪楽しみかも。」 そう。 なにを隠そう は大の射的好きなのであった。 「なぁ、あそこの二人すごくない?」 「さっきから高得点で無敗だよ。あのガンコンかなり難しいのに。」 「なんかカッコいいカップルだよね。」 気がつけば赤也と のプレイっぷりに人だかりが出来ていた。 だが、二人はあまりに白熱していたためまったく気がついていなかった。 「やったぁ!!最終ステージクリア!!!」 「へぇ。 ちゃんかなり上手いッスねぇ。結構来てるんの?ゲーセン。」 赤也の一言に一瞬 は沈黙した。 「えへへ…姉ちゃんと…エイジ先輩にしこまれましたから。」 は苦笑して赤也をみた。 「…。」 「…赤也くん?」 赤也が黙って俯いているので は不思議そうに顔を覗き込んだ。 すると… 赤也は の背中に左手を回すと、右手で の顔を自分に近づけた。 「…え?」 は驚いている暇もなく 唇を塞がれた。 「なっ!!!」 は思わず赤也に殴りかかるがあっさりと腕を掴まれてしまう。 「危ないなぁ。 ちゃんってばいきなりなにするんッスか。」 「…それはこっちの台詞じゃぁぁぁ!!いきなりなにするんですか!!!」 が怒鳴ると赤也は嬉しそうに笑う。 「俺からの元気づけのつもりだけど?」 「は?」 「元気でたっしょ?」 「元気は元気でも怒りって感じの元気なんですけど。」 それを聞くと赤也はますます嬉しそうに微笑んだ。 「じゃあ元気でたんッスね。どんな形でも ちゃんが元気でたんならいいや。」 は絶句した。 自分でも無意識のうちに頬が紅潮しているのがわかる。 なんで? 別に赤也くんの事スキってわけでもないのに。 心音が早鐘を打つのがわかる。 恥ずかしくて逃げ出したい。 それなのに… この瞳からなぜか目をそらす事が出来ない。 自分のなかに生まれかけたキモチに は戸惑いを隠せないでいた。 第三話へ 相変わらず赤也がマイペース。 ちなみに克己はガンコン大好きです。 それにしても赤也手早すぎ。 克己 |