「ジャッカル〜!!」 相変わらずの騒がしい声と 相変わらずの騒がしい足音。 俺がシカトしようとすると、 は俺の前に回りこんできてニッコリと笑った。 「…ハァ。…なんだ?」 「ジャッカル。私ね、あきらめる事にしたよ。」 「は?」 おいおいおい! お前はいつも唐突すぎるぞ!! 話に脈絡がねーじゃねーかよ!! そう突っ込もうとした矢先、 は悲しそうな顔で俺の顔をじっとみた。 「な、なんだ?」 「…だって、ジャッカルってばいつまで経っても『うざい!』『あっち行け』って…だからね…」 ちょっと困ったような顔で は言葉を止めた。 「だからなんなんだつーの!!」 「私、ブンちゃんとお付き合いする事にしたの。」 「…な?!」 「ジャッカル…ばいばい。」 「ちょっと待て!!お、おい!! っ!!」 無意識に俺は を追いかけた。 だが、アイツはみつからない。 「…マジかよ。」 「…だって、ジャッカル。『俺が のコト貰うぜぃ☆』って言ったとき『勝手にしろ』って言っただろ。」 気が付くと丸井が俺の後ろに立っていた。 「それは…」 「今更後悔しても遅いぜ。お前本当は…」 好きなんだろ そう聞こえた気がした。 俺は気がつくとベットの隙間に挟まっていた。 朝の光がサンサンと顔にあたっているのを感じた。 「…マジかよ。」 「ジャッカルゥ〜っ!!!」 相変わらずの騒がしい声と 相変わらずの騒がしい足音。 まるで今朝の夢のようだ。 なんとなく正夢のような気がして、言葉が出なかった。 「アレ?ジャッカルどうしたの?元気ないよ。」 「なんでもねーよ。」 「そっか…。風邪とかなら無理しちゃだめだよ。今年は異常気象で体調不良になりやすいんだから。」 「あぁ。」 「ましてや、ジャッカルは『4つの肺を持つ男』でしょ。肺炎になったら人の2倍大変だもんね〜。」 「…ハァ。お前…用事はなんだ?」 「あ、そうそう。ジャッカル今日は誕生日でしょ!何が欲しい?」 「…たんじょうび?」 「11月3日じゃなかったっけ?」 「…ぁああ!!今日俺の誕生日かよ!!!」 今朝の変な夢のせいですっかりそんな事を忘れていた。 はおかしそうに俺をみて笑った。 「ジャッカルってば馬鹿だぁ〜。自分の誕生日忘れるなんて。」 「…い、色々あったんだ!!」 「ふぅ〜ん。でね、でね、一応皆に聞いてリスト作ったんだけどどれがいい?」 そういいながら はポケットから小さな紙切れを出すと わざとらしくリストを声に出して読み出した。 「もくろ〜く。ひとーつ、珈琲豆。ひとーつ、カツラ(アフロ)。ひとーつ、育毛剤。」 「…。」 「ひとーつ、馬具。ひとーつ、ベビーローション。ひとーつ、王冠。」 「……。」 「で、最後はわ・た・し☆」 「珈琲。」 「だよね〜。」 は鞄から薄茶の紙袋を出すと俺に渡してきた。 「そんな気がして珈琲にしたの〜。」 「それが一番まともだろーが。」 「えへへ。本当は『私』って言って欲しいけどね。」 「言わねーよ!!」 「それ、店員さんに言って作ってもらったモカベースのブレンド。個人的に一番好きなの。」 「お前…実は珈琲好きなのか?」 「ジャッカルのために勉強したんだよ〜。入れてあげよーか。ブンちゃんに教わったからちゃんと入れれるよ。」 コイツの口から丸井の名前を聞いた瞬間、俺の心はムッとした。 こんな事は今までなかったのに。 「自分で入れれるからいらねーよ。」 「え!ジャッカルが入れたの飲みた〜い!!」 「お前なぁ!!コレは俺へのプレゼントじゃなかったのかよ!!」 「まぁ、そうなんだけどさ〜。愛する人の入れる珈琲を飲めたらどんなに幸せかなぁと思って。」 「なんだ、そりゃ。」 「ジャッカルHappyBirthDay!!愛してるよ。」 「わかった、わかった…入れてやるから、飲みたいなら勝手に来い。」 俺はそう言って歩き出した。 「え?いいの?」 は驚いた表情でその場に立ち尽くしていたが、やがて嬉しそうに後ろから着いて来た。 ちょっぴりその行動が可愛くみえて内心ドキッとした。 「…やっぱり、お前でもいいかもな。」 「ん?ジャッカルなんか言った??」 「なんでもねーよ。」 にもう一度愛してる≠ニ言われたら告げてやろう。 それまではもうちょっとだけこのままで。 ジャッカルHappyBirthday★ 二人の決着はまだまだ続きそう…。 でも、5月からちょうど6ヶ月。進展はありそうな気配。 2004年11月3日 克己 |