アラジンはランプの精の力で三つの願いをかなえてもらいました。 もし、願いが叶うなら貴女は何を望みますか? 穏やかな元旦の正午。 ちぎれた雲がゆらりと風に流れ、陽の光はやんわりと大地を温めていた。 年始参りに行く親子連れやカップルが道端に少々残った残雪にはしゃいでいる。 「あ〜ぁ、何が悲しくて新年をバイト先で迎えなきゃならなかったのさ…。もう嫌だ。」 イライラする。。 その日、そんな光景にとても不釣り合いな程不機嫌だった は新年早々に商店街の中程にあるゲームセンター の入り口で足を止めた。 「こういう日はコレに限るっ!」 チャリン はポケットに入っていた百円玉を機械に投入するとスタートボタンを押した。 ピロリロ〜♪ 軽快な音楽と共にアームがくるりと回転し、ゆっくりと動きだしても機嫌が最高に悪いコトに代わりはない。 「あぁ〜!!!アイツぜったい潰す!」 Pon! がそうぼやいた瞬間、機械の中で小さな爆発音と煙が発生したのだが、 ゲームセンター内の騒音でその異変には誰も気がつかなかった。 「アレ?あんな人形あったっけ?」 えらく可愛い人形だなぁ。 見覚えのない黒髪くせっ毛の人形がクレーンゲームの中にいた。 しかもかなりのベストポジション。 すんなり取れそうな位置である。 「よぉし!うさばらしの被害者は君だ!ゲット☆」 コロン 「やり!」 やったね!! がそう叫び、取り出し口から人形を取り出した瞬間、にわかに信じられないコトが起こった。 「ちーす。おれうわさのエース、赤也☆ねがいごとあるっスか?」 「へ?」 はおのれの耳を疑った。 だって今ゲットした人形がしゃべりだしたのである。 「だ〜か〜ら〜、ねがいごと3つかなえるって。」 「に、ににににん、にん…。」 「?にんにん?」 「じゃなくてっ!!!に、人形がしゃべっ…。なんで誰も騒がな…っ。」 「あ、ほかのひとにはおれみえてないっスよ。それににんぎょうじゃなくて赤也。」 「赤也…くん?」 がおずおずとそう答えると、赤也は小さくブイサインをした。 「そうだぜ。おねーさん名前は?」 「 …だけど。」 「 はいまなんかねがいごとないっスか?おれ、なんでもかなえるっスよ。」 今、目の前で突然、このちっこい少年が願いを叶えると言ってる。 だが、そんなコトを言われて信じる人がいるのだろうか? いや、それ以前にコイツ人間??! そんな疑問符が頭の中をくるくるとした。 「…お〜い。 ?」 赤也は手のひらをパタパタと の前でちらつかせた。 は赤也のその行動に、我に返るとポツリとつぶやいた。 「特に…ないかも。」 「えぇぇぇっ!!!!まじっ?!」 「…うん。」 「それはマジこまるって!ねがいごとかなえれないとおれ…いえにかえれないッス。」 「う〜ん…家に帰れないっていてもなぁ〜。う〜ん…よし!なら、他の人の願い3つ叶えればどーかな?」 「それじゃイミないッス!!さいしょによんでくれたひとっていうのがルール≠セから。」 「るーる?」 がそう聞き返すと、赤也はこくんとうなずいた。 「そっかぁ。こんなに小さいのに、なんかワケありで苦労してるんだね。」 「くろーしてるッスよ。おやじ≠ヘすぐなぐるし。」 か、家庭内暴力っ?!! 「かーさん≠ムょうきだし。いつも、赤也くろーかけるって。」 びょ、病気っ!!! 「だからおれ、はやくいちにんまえにならないといけないんッス!」 な、なに?! この昔話のようなお約束家庭はっ!! 不覚にも涙が…。 「だから、 たすけてくださいッス!!」 こ、こんな可愛いコ見捨てられないよ!! そう思った はヒシっと赤也を抱きしめた。 「任せて!!私の願いが決まって赤也くんが帰るその日までうちにいていいから!!」 「ほんとっすか?!」 こうして、私はちいさな少年、赤也くんと出会ったのであった。 願い事残り3つ。 |