「ジャッカル〜!」



サウナのようなクソ暑い部活中
宇宙一暑苦しくてかなわないヤツが俺の視界に現れた。


…オマエいい加減に俺にかまうのはヤメろ。だいたい部活出なくていいのかよ!」

のヤツ、毎日毎日現れるがアイツだってヒマじゃないはずだ。
アレでも立海大付属の女子テニス部のレギュラーなのだから。


「ん?休憩中に決まってるじゃん。ジャッカルに逢うためなら休憩時間の10分や15分惜しくな
いよ。」



フェンス越しにそうきっぱり笑われると、俺はハッキリ言ってどうしたらいいのか返答に困る。



「とにかく来んな!寄るな!暑苦しい。」

「あ〜ぁ、相変わらずジャッカルってばひでぇよな。
 夏なんだから暑いに決まってんだろ。人より涼しい頭してるくせに何言ってんだ、温泉卵ハ
ゲ。」


そのうえ丸井まで毎度毎度乱入して来るからうざいったらありゃしねぇ!


「だぁっっ!!俺のはハゲじゃねぇ。毎朝丹精込めて剃ってんだよ!
だいたい暑さには強いが、紫外線と異様に高い湿度は嫌いだつーのっ!これでも敏感肌なん
だっ!」







そう叫ばれて、 はジャッカルをまじまじとみた。


「な、なんだ?」

「ジャッカルって敏感肌なの?!私ってばてっきり顔も頭もシャンプーで洗ってるのかと思って
た。」

「コイツ、ぜって〜境界線なさそうだもんな。」


普段温厚(?)なジャッカルでも限界がある。
例え普段、ブン太の無茶苦茶に付き合っているとはいえ。
キレるときはキレるそういうものだ。




「丸井… ……お前らここから出てけっ!!!」


プッツンしたジャッカル氏はブン太の首根っこを掴むと
フェンスの扉を乱暴に開き、

ブン太を に思いっきり投げつけた。





ガッシャンッ!!




「うわぁああ!!」


「きゃぁぁっ!!」






衝撃でブン太に潰された
そのうえ は後頭部を、ブン太はおでこを金網にぶつけたのであった。



「痛っ…ジャッカルのばかぁ…。」

「痛ぇっ!!…ジャッカル、お前なんてことすんだよ。」



二人の非難もなんのその。
ジャッカルはパンパンと日本人的に手をはらうと
冷ややかな目で二人をみた。



「悪いか…俺はこれでも『ベビーローション』愛好家だ。」


「「べ…ベビーローションっ?!」」


二人の驚く声が同時に響き渡る。




「…くくくっ。」

「…あはははっ。」

「な、なんだ?」

「「似合わなねぇ〜っ!!!」」



仏(ジャッカル)の顔も三度まで。
ジャッカルの怒りはこの時頂点に達した。


「…丸井…お前とはもうダブルス組まねぇ。 …ミスクド出ても絶対組んでやんねぇ。」

「「えぇぇ〜っっ!!!!!」」


流石に大慌てな二人。
とブン太は起き上がると
二人してジャッカルに抱きついた。


「やだっ!俺、ジャッカルじゃなかったら、誰が俺のフォローすんだって〜。」

「知るかっ!!自分でしろっ!!」

「ジャッカルと組まなかったら誰が私と組むの?!!」

「そこまで気が合うんだったら丸井とでも組んでろっ!!」


「えぇ〜っ!!!無理!!だって二人とも前衛だぜぃ!!」
「えぇ〜っ!!!無理!!だってブン太動かないもん!!」


「…ハァ。わかった、わかった。わかったから練習させてくれ…。」


遠い目でジャッカルは投げやりに言葉を発した。


「あぁ〜。ジャッカル超投げやり〜。」

「冷てぇよな〜。俺やる気なくす〜。」


「いいから丸井とっととこい!…このままじゃ真田に殴られるぞ(俺が)」

「え!マジかよ!じゃーな 。ジャッカル、ちゃんとミスクドは と組んでやれよ。」

「ジャッカル、ちゃんと練習するから組んでよぉ〜。」

「んなもんは、顧問と部長が決めんだろーが。」

「「あ、だいじょうぶぃ☆裏工作バッチリだから!」」



…神様。
俺は帰って早くシャンプーしたい気分です。




















『シャンプー3つ』はストレスのこと歌ってる歌で思わず「ジャッカルっ!!!」
ジャッカルとブン太がコンビで大好きなので。
でもドロドロしたくないので、こんなジャッカル可愛そうなノリ。
3人の関係がどう発展していくやら。

2004年7月8日   克己