「はい、女テニからおすそわけ持ってきました!」

立海大付属中の男テニの部室に女子テニス部の三年生である が大きな紙袋を持って現れた。

「まじっ?貰っていい??」

紙袋から漂う甘い香りに幸せそうにブン太が近づいてくる。

「うん。ミスクドで世話になるし、大会近いから仲良くしましょうってことで。」

がそう言って笑うと赤也が不思議そうに袋を覗き込んだ。

「なんスか?コレ。」

「あ、うん。季節モノという事で柏餅だよ。私が選んだの。」

「へぇ。気が利くじゃん。」

ブン太は嬉しそうに紙袋を開けると率先して柏餅を食べようとした。




だが


パァァ−ンッ!!!




柏餅が口に入る直前に、思いっきり真田に後頭部を打たれたのであった。

「痛っ!」

「おい!まずは礼を言わんかっ!それが仁義というものだろ。」

「別にいいじゃん!俺と の仲なんだから。」

「いつも騒がしくてすみません。わざわざ御馳走様です。」

柳生が にお礼をすると はちょっぴり恐縮した。

「お、お礼なんて大したモノじゃないし。真田もなにもブンちゃんの事ぶたなくても。」

「いや、けじめだからな。」

そう真田が言った瞬間彼が部室のドアを開けた。





皐月に相応しい清々しい涼しそうな頭。
(俗にハゲとも言う。。)

健康的な真っ黒い肌。
(ちょっと黒すぎるかもしれない。。)

すらっとした長身と日本人離れした顔。
(いや。ハーフだし。。)


そう

にとって)
伝説の男が現れたのだった。












「げっ… …なにやってんだ、お前…。」

「ジャ、ジャッカルっ!!!!」

が嬉しそうに駆け寄ってくるのを明らかに嫌そうな顔でジャッカルは見た。
飛びつきそうになった のオデコをジャッカルは右手で押さえつける。


「あ。ジャッカル最低ぃ〜。」

ブン太が柏餅を頬張りながらジャッカルを批判する。

「オレはコイツが嫌いだ!」

「えぇっ!!酷いよ、ジャッカル!私はこんなにジャッカルの事愛しているのにっ!!!」



(好きを通り越して愛しているんですかっ?!!)



その場にいる一同は(本人を除いて)満場一致でそう思った。



「じゃあ俺は?どう?」

ブン太は、ジャッカルから を引き離し質問すると、 はあっさりと答えた。

「ブンちゃんのこと?好きだよ。」

「なら俺の事はなんなんスか?」

「赤也も好き。」

「では私のことはどうですか?」

「柳生さんも好きだよ。真田も仁王も柳も幸村くんもみんな好きさ。」




「…お前、オレの事好きなんじゃなかったのか…!!」

思わず に突っ込みを入れてしまうジャッカル。


「ん?嫌だなぁ。ジャッカルの事は愛してるって言ってるじゃんv」

が幸せそうに笑うとブン太が不服そうな顔をする。

「ふぅ〜ん。ジャッカル、モテモテで良かったな。」

「はっ?お前がそれを言うか?!いつも差し入れ山のように貰ってるくせに。」

「差し入れはそりゃ嬉しいけど。大多数のコにモテても好きな子に惚れられなきゃ

意味がないだろうが。」


そう言ってブン太はちらっと をみたが
なにぶん一瞬の事で誰一人そのことには気がつかなかった。


「だいたいこんなヤツに好かれて嬉しいワケねぇだろうが。そんなヤツの気が知れねぇぜ。」

ジャッカルがそう呟くと、ブン太はムッとした様子で紙袋に再び手を伸ばす。

「あぁ!ムカついたからジャッカルのぶんの柏餅まで食っちまおうっと。」


そう言ってブン太が柏餅にかじりつこうとしたそのとき…



「な、なんだそりゃ?!お、おい!!ブン太、俺の大好物食うなっ!!」





そのジャッカルの発言に は目を丸くした。





「ジャ、ジャッカル、柏餅食べれるの?!!!」

「食べれるの?って… 、お前!オレに愛してるとか言ってるくせに何言ってやがる!」

「…だって、ブラジル人はあんこ駄目そうなんだもん。和菓子平気なんだ…。」

「オレは半分日本人だ!」

「そっかぁ。うん、うん。わかったよ。私の中の『ジャッカルLove帳』にしっかりと刻んだからw」

「そんな不吉そうなモノに刻むな!!」

「じゃあ今度は上生菓子でも差し入れするからvじゃあねww」


はジャッカルに投げキッスすると女子テニス部のコートへと走り去っていった。




「はぁ…台風一過かよ…。」

が立ち去った事でホッと肩を撫で下ろすジャッカルにブン太が言った。

「ジャッカル本当は の事好きなんだろ。」

「アホかぁ!何をどうみればそうなる?!」

「じゃあ俺が のコト貰うぜぃ☆」

「…勝手に持ってけ。のし付けてやる!」







こうして
三人の壮絶な(?)戦いが始まるとか始まらないとか。






続く(かも?)










5000HIT御礼企画フリー夢『柏餅(他校編)』。
とにかくジャッカルが書きたくてこんな感じになってしまいました。
立海大好きなので関東大会後の出番が心配でなりません。
もっともっと沢山出てきて欲しいのになぁと心から思います。

2004年5月20日    克己