「ホントに他校受験するのー?」 と英二はちょっと淋しそうな顔をした。 私はいつも放課後、図書室で勉強して英二の部活が終わるのを待っていた。 迎えにきた英二は私をみつけるなりそう言い出した。 「うん。受験するよ。」 「ちぇっ。 が一緒学校のほうが楽しいのになー。」 ちょっぴりムッとしながら英二は窓側の椅子に座った。 英二が座った後ろには小さな移動用の黒板が立て掛けてある。 英二は黒板に寄りかかった。 外はもう薄暗くなっていた。 「ゴメンね。」 「青学キライ?」 「スキだよ。」 「だったらにゃんで?」 「この学園大好きだけど、私も英二みたいにやりたい事をやってみたくなったの。」 「俺みたいに?」 英二は意外そうな顔をした。 「テニスコートに立っているときの英二は本当に生き生きしてカッコイイから。」 「か、カッコイイ?!」 「えへへ。惚れ直しちゃうくらいカッコイイよvだから君はテニスに専念しなさい。 私が安心して勉強出来るように。」 そういうと私は参考書に目線を落とした。 英二は観念したように笑った。 「ホントは傍にいて欲しいけど、 がやりたいことみつけたんなら俺応援するよ。」 「英二…いいの?」 「だって止めても聞かにゃいだろー。」 「あはは…ごめん。」 「それに、俺が のこと好きな気持ちは絶対かわんないからv」 と英二は私の頭を優しく撫でてきた。 「うん…私もだよ//」 私がそういうと英二は満足したように笑い「んー」と伸びをした。 「じゃあ俺も が一段落するまで宿題してるよん♪」 英二は鞄からノートと教科書を取り出しもう一度笑った。 「ありがとv」 私もお返しに笑い返した。 十分後 「あーあ、案の定寝ちゃってるよ・・。」 私のカワイイ恋人は教科書を枕に小さな寝息を立てていた。 「あ!そうだ♪」 私はちょっとしたいたずらを思いつき席を立った。 そして 英二の後ろの黒板に近づいた。 「ん…俺寝てた?」 「うん。おはよー。」 「 ?なに笑ってるの?」 「ん?別になんでもない。」 そういいながらも私は自然に笑みがこぼれてしまう。 英二は気付いてないみたいだけど。 私は彼がもたれかかってる黒板に落書きをした。 真っ白いチョークで英二の背中に被るように大きな天使の翼を。 そして英二の頭上あたりに赤いチョークでこう書いた。 『Dear my Angel. Never mind.I will stand by you. 』 私の天使さん。心配しないで。ちゃんと傍にいるからね。 英二がいつ気付くかと思うと私は小さく微笑してしまった。 菊ちゃんの短編書きたくて書いた話。 2004年1月26日 |