「うげ。なにこれ?りんごの匂い…」 越前リョーマが部室の戸を開けるとあたり一面にりんごの香りが充満していた。 ふとみれば、男子テニス部のマネージャ3年の が 段ボール箱をベンチに運んでいるところだった。 「ありゃ?越前早いね。」 「… 先輩このリンゴどうしたんっスか?(苦笑)」 「う〜ん、田舎のおばあちゃん家から送られてきたんだけど 食べきれなくて、部活のみんなにおすそわけなの。越前も食べる?」 リョーマが答えようとしたそのとき豪快のドアを開ける音と共に 「おぉ!りんごじゃん!先輩もらっていいの?!」 桃が嬉しそうに叫んだ。 「うん。桃も持っていきなよ」 「ホントにいいんッスか?ありがとうございます!!」 何種類もあるりんごを桃は適当に抱え込むと 皮を軽く拭いてガッツリとかじりはじめた。 「桃…(汗)」 「せめて洗ったほうがいいよ」 「ん?ダイジョブ、ダイジョブ♪死にやしないって♪」 「うわぁ〜!すげぇ〜!! ちゃんコレどうしたのかにゃ?」 「部活のみんなにおすそわけ☆」 「でもこんなに種類あるけどどれがおすすめなんだ?」 「えと、甘党の人は、こっちのつがるか金星(外見は幸水なしに似たリンゴ)。 酸っぱいほうがスキならこのジョナゴールドか紅玉で…」 が後から来た人達にリンゴの種類を教えて好きなモノを選ばせていると 次から次へと部員達が入ってきて一連の作業に追われた。 そして 「ふう。ひと段落だぁ」 ほぼだいたいの人に渡し終わったとき、段ボールの中を凝視していた 乾が に話しかけてきた。 「なんでこれだけどんな種類の林檎もそろっていてあんなメジャーなあの林檎がないんだ?」 「(ぎく)そ、それは。。」 そう!こんなに種類のとりどりの中にはもっともポピュラーなあのリンゴだけが 入っていなかった。 「それは?」 「それはそのぉ……。」 一瞬の間。 どう答えていいか苦笑していると意外な人からの声がした。 「他のひとに食べられたくないからだよね?(にこり)」 不二周助。 彼の言葉にとっさに動揺を隠せない 。 「!あ、あの林檎!いっちばん好きなの!大好物なの!世界一大好きなの!」 「なるほどな。そういうことか。」 そして納得する乾。 一人になったと思いこんでホッとしたのは束の間だった。 「(こそっ)僕と同じ名前だから他の人にあげたくなかったんでしょ?(くすくす)」 (なななんてことをサラっというのよ!このひとは///) ドキドキしながらも、つい彼にだけみえるようにうなずいてしまう自分が悔しい。 そう。 世界で一番私が好きなりんごはふじりんごなのです。 −−−おまけ−−− 「?乾、にゃに書いてるの?」 「うーん。あの二人がつき合ってる確率78.5%だな。」 「えぇ!!」 克己の第二の故郷はA県。林檎の名産地。 一番好きな林檎はやっぱりふじ。 2003年11月28日 克己 |