が弁当箱の蓋を開けると甘酸っぱい匂いが漂った。 柳蓮二はけげんな顔で弁当箱とその主を交互にみる。 「お前の行動はしばし理解しがたい事があるが…。一体どういうつもりか聞いてもかまわないか?」 呆れ顔の蓮二をよそに、 は気にせず弁当の中身を口に運ぶ。 「柳さんたるものが知らないんですか?」 「あぁ。よく判らないな。」 「実はコレを食べるとなんと胸が大きくなるんです!!」 「は?」 あまりに訳が分からない。 一体、これと胸の発育とがどういう関係があるというのだろうか? なぜなら、 の弁当箱いっぱいに詰め込まれた赤いモノは… 「 、確かに苺は栄養価がそれなりにあるだろうが、主にビタミンで構築されているのだから低カロリーだ。」 「?はい。」 「よってほぼ脂質になるとは考えがたい。胸の発育に関係があるとは思えないのだが。」 「で、でも、神楽ちゃんが…」 「お前のクラスメートの神楽がどうした?」 「神楽ちゃん、胸おっきいじゃないですか。」 「あぁ、そうだな。おそらくFカップくらい…」 「なんで知ってるですか!!やっぱり柳さんも胸おっきい方が…」 そう言って は俯いた。 まったく、何を勘違いしているのだ。 「ただの目測だ。で、神楽の胸がどうしたんだ?」 「う…だから、神楽ちゃんに聞いたんです。どうしたらそんなに胸大きくなるの?≠チて。」 「それで、神楽はなんと言っていたんだ?」 「特別な事はなにもしてない≠チて。」 「ほぉ。」 「神楽ちゃん私、牛乳嫌いだし、あんま寝ないし。人より食べたモノって…苺くらいかな?≠チて。」 「…っく、く…ふはははははははははは 」 「や、柳さん?」 なるほどな。 それで苺を沢山食すという思考に結びついたという訳か。 「私、真剣なんですよっ!笑うなんてヒドイじゃないですか!!」 「くくっ…す、すまない…いや、俺はお前のそういう無駄な努力は好きだ。」 「ムダってなんですか!!第一それってバカにしてます!!」 「馬鹿になどしてない。可愛いという意味なんだが。」 蓮二はそう言うと、 の頭を軽くポンポンと撫でた。 「何事も一生懸命になれるのは良い事だと思うぞ。まぁ、たとえ結果に結びついていないにしてもな。」 「け、結果に結びついていないって…」 「仮に、万に一つでも苺の栄養により胸の発育が成されたとしてだ。俺は一言も胸が大きい方が好みなど言っていな いのだが。」 「…ちがうんですか?だって、男ならやっぱり巨乳の方がスキだな≠チてジャッカル先輩が…」 「あぁ、ジャッカルの好みは色白でグラマーな女だからな。」 「えと…柳さんは…違うんですか?」 が尋ねると、俺は の顔に自分の顔を近づけた。 はみるみると、弁当箱の苺のように赤くなっていく。 俺は、そんな にゆっくりとキスをした。 「別にどっちだっていい。お前ならな。」 「…//」 「まぁどうしても気になるようなら俺が大きくしてみるか?」 「なっ!!や、柳さんっ?!///」 をそっと抱きしめると 柔らかくて、ふんわりと苺の甘い香りがした。 「いくらでも協力してやるぞ。」 「い、いや、それはぁ…//」 胸があったって、なくたって 俺は、甘くて、すぐ赤く染まる彼女が 何よりも だれよりも 可愛くてたまらないのだ。 一万Hit企画の玲央さんのリクエストで書かせて頂いた柳夢。 蓮ちゃんでこういう話だと無性に恥ずかしいのは私だけでしょうか? 2005年01月20日 克己 |